子どもを理解するということについて【汐見先生のうまれて、よかった】

2026年10月24日

【2026年9-10月号掲載】

理解するとは、その人の味方になる、ということ



育児でも保育でもそうですが、私たちは、子どもたちにどう言って聞かせればわかってくれるか、ということをいつも考えがちです。

しかし、子どもたちが親に反発するのは、親の方が子どもたちの言い分や、気持ちをしっかり聴き取ろうとしないで、自分の言い分ばかりを子どもに伝えようとするときなんですね。あとで冷静に考えれば、そんな一方向の言葉になっていることはわかるのですが、カッとしているときにはそんなことを考える余裕がない。どうしてもこちらの言い分を聞かせようとする。これはプロとしての保育者でも体調次第では起こることです。

そこで保育などで大事にしているのが、子どもの気持ちやつもりをしっかりと聴き、理解して、その子どもの気持ちやつもりを保育者として大事にしているよ、とていねいに子どもに伝えることです。それを「子ども理解」といっています。

理解は英語のunderstandの訳語なのですが、この単語は分解するとunder+standとなります。直訳すると下から支える、という意味なんです。つまり、その子、その人を下からあるいは後ろから支える、そのためにはその子、その人のどこを支えればいいか、それを見つけることがunderstandなんです。理解するとは、よく「あの人、私の理解者なんです」というように、その人の味方になる、ということです。

ですから、わが子が親の期待と違うことをしているときも、どうしてそれをしたいのだろう?なぜ親のいうことに反発するんだろう?と考え、その子の気持ちやつもりをひとまず「理解」することが大事なんですね。

そのために必要なことは、言い聞かせる前に、子どもの気持ちやつもりを聴こうとすることになります。つまり、よくいう「聴き上手」になるということです。ともかく、何でこんなに怒っているのだろうと、いったん引いて、冷静に理解しようとして聴く。そこで、きっと子どもにとっては○○なんだろうと気がつけば、わかった、わかった、と対応が違ってきます。それが子ども理解なんですね。

お話を伺ったのは…

汐見 稔幸さん
汐見 稔幸さん

一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事。
東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育士養成協議会会長・日本保育学会理事(前会長)。 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。初代イクメン。父親の育児参加を呼びかけた「父子手帳」の著者。ユーモラスでわかりやすい語り口の講演は定評があり、保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長や持続可能性をキーワードとする保育者のための学びの場『ぐうたら村』の村長でもある。NHK E-テレ『すくすく子育て』などメディアへの出演も多数。


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