2023年4月9日
子どもの病気やケガは、いつも突然やってきます。
それは、子どもは大人のミニチュアではないから。
子どもの体や病気を知って、安心して子育てを楽しもう。
ニュースやSNSでは、「子どもがうるさい」と言われた、という話をよく見聞きします。
「近くに保育園や公園ができると、うるさくて迷惑」という住民の声があったり、「ベビーカーで外出するのは他の人の邪魔」「子どもが小さいうちは短いのだから、外出は控えては」と公共交通機関の利用を制限するような声、「子どもが泣いたりぐずったら、親は申し訳なさそうにするべき」「ずっとあやし続けている親なら許せるが、そうしない親はおかしい」など、目を疑うような投稿もあります。
「これが少子化の一因ではないか」と思ってしまうほど、子ども連れに厳しい、今の日本。
なぜ子どもはこんなに迷惑がられてしまうのでしょう?
私は、少子化によって身近に乳幼児がおらず、「そもそも子どもに慣れていないこと」や「子どもの成長や発達について知らないこと」がその原因ではないかと思っています。
『クルール』を読んでいる子育て中の読者の中にも、我が子が生まれてから、「赤ちゃんはこんなに泣くのか」と驚いた方もいるでしょう。子どもはよく泣くのです。
赤ちゃんは、お腹が減ったり、オムツが汚れたり、暑かったり、寒かったり、眠れなかったり、どこか痛かったりすれば、すべて泣いてサインを伝えます。
ときには、何の理由もなくても泣きます。まだ言葉が上手に使えない幼児も、泣いて伝えることが多くあります。
ですから、親でも「泣く理由」がわからないことはよくありますし、「泣かないようにしつける」なんてことは、不可能です。
しかも、子どもはあやしたからといって泣き止むとは限りません。逆に、眠れなくてぐずっているときにあやしてしまうと、かえって目が覚めて激しく泣くこともあるので、「あえてそっとしておく」という判断も十分あり得ます。
また、親だって疲れていたり、スマホで連絡や調べ物に忙しいなど、抱っこができないこともありますよね。ところが、こういった知識が広く知られていません。
そのため、「泣いている赤ちゃんを放っておいている」と責める人がいるのでしょう。でも、だからといって、パフォーマンスとしてあやしたり、ずっと申し訳なさそうにしておくのはおかしいですね。
子どもが、いきなりすべてのマナーやルールを身につけられるわけがありません。大人から何度も注意を受け、教えてもらう中で少しずつマナーを学んでいくのです。
かといって、「子どもが小さいうちは外へ出るな」というわけにもいきません。誰だって買い物などの用事もあれば、好きなところへ出かけ、楽しむ権利があります。
子どもも社会の大切な一員。社会で生きていくなら、いくら苦手でも「子どもと無関係でいたい」は無理です。誰だって昔は子どもで、周囲に迷惑をかけ、それでも許してもらえたから大人になれたのです。日本がもっと子育てにやさしい社会になってほしい、といつも思います。
小さい子どもを育てている方の中には、ずっと肩身が狭い思いをしている方も多いでしょう。そんな日々の中で、誰かが助けてくれたりすると、救われた気持ちになります。そんなときは、すかさずお礼を伝えたり、別の困っている誰かに親切にすることで、暮らしやすい社会にしていきたいですね。
小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。
著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数
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