子育てにウェルカム!な空気をつくりたい【きかせて、子そだて/かねもとさん】

2020年6月21日

【2020年6月号掲載】
ファンタジーな世界が舞台でありながら、待機児童やワンオペ育児など現在の子育てをめぐる問題をリアルに描いた漫画『伝説のお母さん』。原作者のかねもとさんもまた、2人の子どもを育てるお母さんです。執筆の背景は?お話を聞きました。
 
もくじ

1.どうしてお母さんは冒険に出かけられないんだろう?
2.冷静じゃなくてもいい、本音で何度も話し合って
3.現実を、子育てしやすい世界に変えていくために
4.教えてくれたのは

どうしてお母さんは冒険に出かけられないんだろう?

子どもの頃からゲームが好きで、特にRPGでよく遊んでいました。でも、子どもが生まれて、ふと気づいたんです。「子どもがいても、戦うお母さんのキャラクターっていないな」って。父親なら妻子を置いて冒険に出かけるキャラクターは珍しくないのに…。

当時は、待機児童問題が大きな話題になっていた頃でした。実力があって仕事をしていても、子どもを保育園に入れられないだけで、女性が仕事を辞めなくてはいけない。そんな状況を見て、「かつて魔王を倒した有能な魔法使いなのに、待機児童がいて戦えない」という主人公にしました。

私自身、その頃は在宅のフリーランスでは入園するための点数が足りず、とうてい子どもを保育園に入れることはできない状況でした。いわゆるワンオペ育児の状態で、執筆の時間は1歳だった下の子の昼寝中や、夜眠った後だけ。

作中の「育児より魔王を倒すほうが楽ですよ」というセリフは、周囲の友人たちの「子育てより仕事の方が楽」という言葉が元になっています。仕事ではいきなり水をこぼす人はいないし、少なくとも話が通じますから(笑)。

上の子が小学校に入学し、下の子が保育園に入れた去年の春、何年かぶりに1人で喫茶店に行けました。在宅勤務でも保育園に入れたのは、待機児童が大きな話題になり、入所基準が変わったから。子育ての環境は、少しずつ良くなっていると感じます。
 

冷静じゃなくてもいい、本音で何度も話し合って

『伝説のお母さん』では、主人公の夫は、最初は家事・育児にとても非協力的。現実でも同じような話はよく聞きます。

「夫に不満をぶつけて険悪な空気になるくらいなら、自分でやった方が…」と考えてしまう人も多いと思うけれど、まずはお互いに本音をぶつけてみてほしいと思います。話し合うことで、状況が変わっていくかもしれません。

私自身も夫と話し合いました。冷静にいきたかったけどとても無理で、喧嘩もしました(笑)。何度も話し合って、今では夫も子どもを保育園に連れて行ったり、家事をしてくれるようになりました。
 

現実を、子育てしやすい世界に変えていくために

もっと子育てしやすい世の中にするために、私なりにできることとして、「子どもを歓迎する空気」をつくりたいですね。バスや病院の待合室で子どもが泣いた時、周囲の人の視線を感じて、肩身が狭い思いをしたことがあります。

だから、子どもが成長して「周囲の人」の立場になっても、子育て中の人に同じ思いをさせたくないんです。赤ちゃんが泣くのは当たり前だし、幼児がキャーキャー言っているのは本当にかわいい。そんな時は、ニコニコしたり、「かわいいね!」と声をかけると、周囲の人にもその雰囲気が伝わっていくんじゃないかな。私はそんな「子育てにウェルカムな空気」になりたいですね。
 

教えてくれたのは

かねもとさん 


漫画家、フリーランスでゲームシナリオ執筆など。小1・年少の子どものママ。ダ・ヴィンチニュースにて『伝説のお母さん つづきから』連載中。著書は『伝説のお母さん』『What's Home』。

伝説のお母さん
著:かねもと、出版社:KADOKAWA

ファンタジーの世界を舞台に、「伝説の魔法使い」である女性が、待機児童やワンオペ育児、夫との家事・育児分担などの壁にぶつかりながら奮闘する漫画。2020年2月~3月にNHK総合にて、前田敦子主演でテレビドラマ化された。

 
 

 
関連記事
 

イライラしても、子どもに怒りをぶつけないために
【高祖 常子さん】


毎日の生活の中で伝えよう。性教育は子どもを守る学問
【フクチ マミさん】

 

このページをシェアする

週間人気記事ランキング

もっと見る