パパの絵本LIVE
絵本の読み聞かせは、子どもの豊かな心を育み、語彙力や集中力を高めます。冒険心や好奇心をかき立て、物語の楽しみを分かち合う時間は親子のコミュニケーションにぴったり!
ですが「読み聞かせをしたいけど、保育士さんのようにうまくできない…」「読み聞かせにぴったりな絵本って?」「子どもたちの反応が薄い…」と悩むパパやママも多いのではないでしょうか。
今回はNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さんに、おすすめの絵本を6冊ご紹介していただきました。
子どもたちの反応が良い絵本、不思議な世界へ入り込んでしまう絵本など、ワクワクする絵本がいっぱい!
パパだからできる読み聞かせPOINTや、絵本にぴったりのBGMの紹介も。
もくじ
1.おすすめ絵本『ことりのみずあび』
2.おすすめ絵本『わるいことがしたい』
3.おすすめ絵本『ねないこ だれだ』
4.おすすめ絵本『つきよのかいじゅう』
5.おすすめ絵本『へんしーん』
6.おすすめ絵本『ぼく、いってくる!』
7.紹介してくれたのは…
「ことりのみずあび」の読み聞かせのコツ
ことりのみずあび
作/マリサビーナ・ルッソ
訳/なかがわ ちひろ
発行/あすなろ書房
36ページ
小鳥の冒険とわが子の園生活が重なります
巣を出て水浴びに行く小鳥の姿が、保育園に初めて行ったときのわが子に思えました。
ママやパパから離れ集団の中で過ごすなんて、すごい冒険。自分より大きい人に囲まれ群れて遊び、ぶつかったり怒ったり、いっぱい笑って泣いて、いろんな体験が待っています。
主人公の小鳥は、やっと見つけた水浴び場で、ボールが飛んできたり、犬に噛まれそうになったり…。女の子が水たまりでバシャバシャやるシーンは「最近見ないな~」なんて思いました。
うちは散々やってましたけど、そうじゃない子には新鮮で、やってみたくなるかも?!でも、小鳥はおちおち水浴びしていられませんね…。
ドキドキワクワクの毎日を応援しよう
何かあると親はつい先回りしがちですが、子どもは自分で体験し、センサーを働かせて「快適な水浴び場」を見つけられるようになることが大切。
いっぱい遊んで、家でごはんを食べて「明日も驚いたり、楽しいことがありますように」とわくわくしながら眠る。その繰り返しで子どもは成長していきます。
小鳥の様子がたくさんの擬音で表現されています。ドキドキワクワク、情景を思い浮かべながら読んでください。新生活に向けて勇気をもらえるはず!
「わるいことがしたい」の読み聞かせのコツ
わるいことがしたい
作/沢木耕太郎
絵/ミスミヨシコ
発行/講談社
28ページ
いたずら盛りの男の子がやりたい放題!
男の子が家の中でやりたい放題の痛快な絵本。
ママの「やめて~」という嘆き声が聞こえてきそう!わが家もビデオデッキにバナナを詰め込んで壊され、リビングの壁は落書き用のキャンバスに。
彼らにとってそれは「わるいこと」ではなく、叱られる理由がわからない。だから僕は、牛乳を勢いよくこぼす息子に「もうそんなこと出来るようになったの?!」と褒めました。うれしそうな息子に、僕はため息をついて牛乳を拭き、後始末の大変さを見せることに。
以降、いたずらはめっきり減ったのです。「わるいことは人に面倒をかけること。後始末は自分で」。この絵本からは、理屈じゃなく体感して覚えていく様子がわかります。
子どもの成長を応援しよう
この絵本のママのように、いたずらを「だめ!」と抑制せずに、全部ひっくるめて成長だと受け止めてみては?
でも、自分でしたことの責任の半分は自分で取らせる。そうやって「わるいこと」や「やんちゃ」をして褒められ叱られ、「やって良いことと悪いこと」の分別を学習するのです。ルールの中で思いっきり遊び、周囲の人を笑顔にする人に成長していくはず。
ダイナミックないたずらを思う存分楽しむ男の子とママの様子は、いたずら盛りの子どもがいるママ、パパにぜひおすすめです!!
「ねないこ だれだ」の読み聞かせのコツ
ねないこ だれだ
作・絵 /せなけいこ
発行/福音館書店
24ページ
おばけこわ~い!!
でも何度も読みたくなる名作
いまも子どもに愛され続ける「ねないこだれだ」。娘が2~3歳の頃によく読みました。
夜更かしして遊んでいる子どもがおばけにされて、おばけと一緒に飛んでいってしまう結末がなんといっても怖い!!それに、ふくろう、どら猫、ねずみ、どろぼう…いろいろなキャラクターが登場して飽きさせないから、会話が弾みます。
ヒゲ面に大きな袋を背負った泥棒を見て「こんな泥棒って、いまどきいないよね」「ふくろうとみみずくってどう違うの?」とか。
それに、おばけは怖いってイメージだけど、愉快でやさしいところもあるんじゃないかな?もしかしたら、子どもにとっては、おばけよりママの方が怖いかも?!
おばけの世界って?想像と興味を広げよう
夜更かししてる子が連れて行かれた、おばけの世界。
その先には何があるんだろう?子どもにそのことをよく訊かれ、「川や山とかがあって、いい人生を送った人には、いいところらしいよ」と話しました。
「いい人生って?」それは大人になれば分かるさ♪ 絵本は寝かしつけのためのツールではありません。「おはなし」を楽しみましょう。
もし、「おばけが来るかも!」って子どもが無性に怖がったらギュッとして、「ダイジョウブ、パパ(ママ)がついてるよ」と言ってあげてくださいね。
「つきよのかいじゅう」の読み聞かせのコツ
つきよのかいじゅう
作・絵 /長 新太
発行/佼成出版社
35ページ
湖からかいじゅう!?
どんなかいじゅう??
湖のそばにテントを張り、かいじゅうが出てくるのを10年も待ち続けた男の話です。
ある月がきれいな夜、ついに、かいじゅうが現れます!湖からどんどん出てくる頭は、もう月に届きそう。ネッシーみたいなかいじゅうかな~?それとも、あんなのかな?こんなのかなぁ~?子どもと一緒に、どんどん想像が広がります。
ドキドキワクワク、ページをめくると…ナント!!大男が、シンクロナイズドスイミングしている足(笑)。
まさかの展開に、パパも子どももズッコケ&脱力。月がきれいな夜には、何が起きるか分かりません。
子どもは「なにこれ~、ウフフ」と笑いながら、大男のいる真夜中の湖に引き込まれていきます。大男の顔が見てみた~い!!
絵本の影響っておもしろい!
子どもはこの絵本を読んでから、一緒に湖に行った時や、テレビでシンクロナイズドスイミングの競技を見るたびに、「あ!つきよのかいじゅうだ~」って、ちがうちがう(笑)。
それにしても、よっぽどインパクトあったんだなぁ。
ページをめくるたびに、不思議な世界に引き込まれるナンセンスな絵本。こういうおバカな絵本を買って帰るパパって素敵。だってママは、絶対買わないでしょ?
「へんしーん」の読み聞かせのコツ
へんしーん
作・絵 /谷川晃一
発行/偕成社
34ページ
「へんしーん」と「へん」で大笑い!
定番のナンバー。どこで読んでも大ウケです。
上下にページが分かれていて、めくっていくと、いろいろな顔に〝へんしーん〟していくしかけ絵本。
顔はもちろんおもしろいけど、言葉遊びも負けずにおもしろい。ページごとに「へんだ」「へんてこ」「へんじん」「へんじゃない?」。
「へん」ではじまる短い言葉を子どもたちに投げかけると、「へんだよー!!やっぱり」と大笑い。その反応を見て、「これならどうだ?!」ってどんどん気持ちが入っていきます。
僕は息子たちと、組み合わせをいろいろ変えて「これ一番へん!」「こっちの方がへん!」とよく遊びました。
パパが絵本好きになるかも?!
絵本は、パパが子どもに関わるきっかけとして最高のツール。でも「絵本読むのは恥ずかしい、苦手…」というパパもいます。
感情こめて、抑揚つけて、子どもが喜ぶように読んで!なんてママは言うかもしれないけど、慣れるまではパパも結構大変なんですよ~。そんなパパに、この絵本はうってつけ!だって「読まなくていい」んだから。
こんな単純でママが苦笑いしそうな仕掛け絵本を、親子で読んで、大笑いしちゃいましょう♪
「ぼく、いってくる!」の読み聞かせのコツ
ぼく、いってくる!
作/マチュー・モデ
訳/ふしみみさを
発行/光村教育図書
25ページ
いったいどこに行くの?
この絵本の「ぼく」は、ある決意をして「よーし、きめた!いってくる!」と、巣から旅立ちます。
新しい世界に一歩踏みだすわが子を、パパやママや兄妹たちみんなが応援し、セーターや懐中電灯、お菓子などを、次々と手渡してくれました。両手いっぱいにもらった品々をかかえ、「ぼく」は一体どこに向かうのでしょうか…?
読み聞かせでは、子どもも大人も乗り出す期待感。どこへ行ったのかって?それは絵本を見てのお楽しみ♪想像もしなかった結末が待っていますよ。ワクワクしながらページをめくって。
ドキドキの新生活は、笑顔を心がけて
子どもの新入学準備で忙しいママも多いことでしょう。
僕も3年前、息子の小学校の入学説明会に行き、「わー、こんなに用意するものあるんだ⁉︎」とビックリ。その4月、ピカピカの1年生になった息子は、最初モジモジしてたけど段々に友達が増え、学ぶことの楽しさを覚えていきました。
今は、小さく見えるランドセルを背負い、毎日「行ってきまーす!」と元気に学校に出かけていきます。
絵本の「ぼく」も、子どもも、新しい世界に飛び込むには覚悟が必要。それは親も同じ。入学は、ママもパパも地域デビューの時。持っていると役立つ最高のツールは「笑顔」ですよ!
紹介してくれたのは…
NPO法人 ファザーリング・ジャパン
安藤 哲也 さん
日本一のイクメン集団「NPO法人ファザーリング・ジャパン」の代表。自身の子どもたちに読んだ絵本は約6,000冊。ロックのLIVEと絵本の読み聞かせ〝パパ’S絵本プロジェクト〟をはじめ、さまざまな活動を全国で展開中。
※この記事はクルール2016年4月号〜2017年2月号「パパの絵本LIVE」を加筆・修正して掲載しています
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