おしゃぶり、使ってもいい?【コドモカルテ/小児科専門医 森戸やすみさん】

2026年4月4日

子どもの病気やケガは、いつも突然やってきます。
それは、子どもは大人のミニチュアではないから。
子どもの体や病気を知って、安心して子育てを楽しもう。

「こんな時どうする?」
小児科医が教える病気のケア

【2026年3-4月号掲載】

おしゃぶり、使ってもいい?

赤ちゃんはお腹の中から指しゃぶりをしている

赤ちゃんや子どもの指しゃぶりはかわいいものですが、「そろそろやめさせないと、将来の歯並びに影響してしまうのでは?」と心配する保護者もいます。また、「泣きやまないときに、おしゃぶりを使ってもいいですか?」と相談されることもあります。

赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいるときから指しゃぶりをしています。妊婦健診のエコー写真でも、自分の指をくわえているような胎児の姿が見られることがありますね。この動作は、おっぱいを飲むために人間に備わった原始反射のひとつ「吸啜(きゅうてつ)反射」によるもの。だから、赤ちゃんはお腹が空いていなくても、口が何かに触れると反射的に吸うのですね。この反射は、生後3カ月くらいまで続きます。

泣きやまない赤ちゃんにおしゃぶりは試す価値あり

ただ、生後3カ月を過ぎて原始反射がなくなっても、赤ちゃんは口元にあるものを吸おうとします。これは安心感を求めての行動でしょう。私がかつて勤務していたNICU(新生児集中治療室)では、採血など痛みのある処置をした後は、すぐにおしゃぶりをくわえさせていました。これは、「おしゃぶりをくわえさせると、くわえさせなかったときに比べて、心拍数が早く平常値に戻る」という研究結果があるからです。

ですので、「何をしても泣きやまないことがあるんです」と相談のあった保護者に対しては、私はおしゃぶりの使用を勧めています。ときには「こんなに小さな赤ちゃんに与えてもいいんですか?」と驚かれることもありますが、むしろ小さいうちにこそ使う価値があるのがおしゃぶりです。ただし、母乳育児を確立する前には乳頭混乱を起こすことがあるので、母乳育児をこれから軌道にのせたい場合には注意が必要です。

「どうしても泣きやまない」「寝かしつけられない」「外出中静かにしてほしい」といったとき、役に立つのがおしゃぶりです。中には受け付けない子もいますが、試してみる価値はありますよ。

指しゃぶりもおしゃぶりもそのうち自然にしなくなります

指しゃぶりは、どんな子でもやる、というわけではなく、ほとんどしない子もいます。指しゃぶりの代わりに、いわゆる「ライナスの毛布」やタオルなどを手放さない子もいます。その子によって安心感を得るアイテムは異なる、というだけで、指しゃぶりをするからといって、「寂しいのかな?」「愛情不足かも」といった心配はしなくても大丈夫です。

「いつまでも指しゃぶりやおしゃぶりをしていると、歯並びに影響するかも?」と心配になるかもしれませんが、1日のうち短い時間なら、あまり影響はないでしょう。また、「やめられなくて困る」といったケースは少なく、いつのまにか自然としなくなってしまうことがほとんどです。

日本小児歯科学会のウェブサイト(※)には「指しゃぶりについては3歳頃までは、特に禁止する必要がない」と記載されています。

もし3歳以上になってもやめようとしないなら、無理にやめさせるのではなく、「バイキンがお口に入ってしまうかも」などと言って聞かせてあげてください。子どもの安心感につながる、毛布やぬいぐるみといった別のグッズを用意するのも一案ですし、寝つくまで手を握ってあげるなど、スキンシップを図ってもいいでしょう。
※公益社団法人 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱」https://www.jspd.or.jp/question/until_school/

教えてくれたのは…

森戸やすみさん<
森戸 やすみさん

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。
著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数

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