【2018年4月号掲載】
もっと幸せ、もっと楽しい
子育てのために考えよう
筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のテーマは母子分離。
子どもがお母さんから離れるのは、 子どもの心の発達に必要な体験。
過保護に接するのは子どもの発達を妨げます。
もくじ
1.子どもが登園時に泣くのは親の愛情をたっぷり受けた証
2.お母さんと離れることに慣れ少しずつ泣かなくなります
3.親はどっしりと構えて子どもを応援し続けましょう
4.教えてくれたのは
子どもが登園時に泣くのは親の愛情をたっぷり受けた証
バス停で泣いているのはわが子だけ…そんなとき、ママは自らを責めたり、子どもを叱ったりしてしまいがちです。
実は、入園前に親から愛情をたっぷり受けて育った子どもほど、家庭から外の社会への適応には時間がかかります。「いやだ!」と泣く子どもは、園がいやなわけではなく、大好きな家族、特にお母さんと離れるのがいやなのです。それは、愛情を十分に受けて育った証です。
その意味では、園に行くのをいやがったり、慣れるのに時間がかかったりするのは、決して悪いことではありません。園の先生たちもそう思っています。
お母さんと離れることに慣れ少しずつ泣かなくなります
お母さんと離れて不安になることを「母子分離不安」と言います。不安が強い子どももいれば、そうでもない子どももいて、いろいろです。 お母さんと離れて泣く現象は、4月の半ば頃までに徐々に減っていきます。「お母さんと離れても怖いことはない、園にいても安心だ」とわかってきて、適応していくからです。ただ、ゴールデンウィークや夏休みの後は、再び不安が強くなり、泣く子どもが増えます。
「泣く子どもを無理に行かせていいの?」と悩むかもしれませんが、園に通うためにお母さんと離れるのは、子どもに無理をさせているわけではありません。子どもの心の発達のために必要な体験です。むしろ、この時に過保護に接し、園バスに乗せないでお母さんが子どもを送って行ったり、お休みさせたりするのは、子どもの適応を妨げることになります。
親はどっしりと構えて子どもを応援し続けましょう
では、子どもが泣くときはどうすればいいのでしょうか。「パパとママはいつも僕(私)を守ってくれている」と子どもがしっかり感じとれるように、応援し続けてください。そして、子どもがどんなに泣いても、園バスには乗せてください。「子どもは今、園に慣れようとがんばっているんだ」と考えて、あとは、母子分離のプロである先生たちにまかせましょう。
子どもが心配だからといって、子どもを叱りすぎたり、指示しすぎたり、また、先生にいろいろなことを要求したりしないでくださいね。どっしりと構えて、子どもを見守りましょう。
漫画・イラスト:國友裕
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