水難事故の救助に向かった夫を亡くし、シングルで2児の子育てをしながら、子どもの事故予防の研究・啓発と講演会やニュース解説により情報を発信する岡真裕美さんによるコラム。
【2026年5-6月号掲載】
「ほんの少し目を離しただけで」子どもの転落事故を防ごう
住宅の窓やベランダから子どもが転落する事故は、残念ながら毎年のように報道されています。インターネット上には「なぜ目を離したのか」「親が悪い」というコメントが多数…他人ごととは思えず、心が痛みますよね。
消費者安全調査委員会の調査によると、過去32年の間に、5歳以下の子どもが住宅から転落して亡くなった事故は134件。窓を開ける機会が増えるこれからの時期には要注意です。
最も多いのは3歳前後の子どものベランダからの転落。この年齢の子どもは行動範囲が広がり、椅子や家具、ベランダの室外機などを使って高い所に登れるようになり、中には自分で台になるものを持ってきて登る子も。何を隠そう、私の息子も3歳のときベランダに脚立を持ち出して登っていました。保護者にとって恐ろしいことに
足がかりなしでも130センチの柵を3歳児の20%、4歳児の50%が乗り越えたという実験結果も出ています。
だからこそ、事故を防ぐためには「注意する」はもちろん、窓に補助錠を取り付ける、少なくとも窓やベランダの近くに登れる物を置かない、室外機の位置を確認するなど、家庭でできる対策をとってほしいです。
2025年3月には、父子で旅行中、滞在したホテルで父親が4歳の子を寝かしつけた後、買い物に出かけた間に子どもが目を覚まし、父親が戻った時には転落死していたという事故も起きました。事故が起きた時、保護者が同じ家にいたケースも少なくありません。家事やきょうだいの世話、保護者自身が体調不良で寝ていた時など、見守りが手薄になった状況で起きることもあります。
事故が起きるかも、という気持ちで生活を見直すと、思わぬ危険を見つけることがあります。ぜひご家族でも共有してください。
お話を伺ったのは…
岡 真裕美さん
大阪大学大学院人間科学研究科特任研究員。2012年、ジョギング中に子どもの水難に遭遇し救助に入った夫が、その際に死亡。事故現場における安全対策を行政に訴えるも、大きな改善につながらず無力さを思い知らされ、シングルで2児の子育てをしながら、大阪大学大学院人間科学研究科に進学。子どもの事故予防の研究・啓発と情報発信を精力的に展開。子育て経験を活かした講演や子どもの事故に関するニュース解説も行う。
子どもを全力で守る本
『子どもを全力で守る本』中井宏・岡真裕美 編著、いそっぷ社。