2024年5月19日
子どもの病気やケガは、いつも突然やってきます。
それは、子どもは大人のミニチュアではないから。
子どもの体や病気を知って、安心して子育てを楽しもう。
「できれば子どもに薬は与えたくない」と考える保護者は少なくありません。
「薬は免疫を下げてしまうのでは」と相談されたことがあります。どんな薬にも、メリット(効果)とデメリット(副作用)があるものの、やみくもに避けるべきではありません。医師は、診察した子どもそれぞれの様子を見て、メリットがデメリットを上回ると判断した場合に、薬を処方します。特殊な薬でなければ免疫を下げたり、体に溜まっていったりすることはありません。
薬全般に不安を感じるだけでなく、個別の薬に対する誤解から生じる抵抗感もあります。
誤解が多い例がステロイド軟膏。
「続けると、だんだん効かなくなる」「副作用が怖い」と思われ、アトピー性皮膚炎なのに、自己判断で中断する人もいます。SNSで「脱ステ」に関する誤った投稿が多いのも一因です。
確かにステロイドの飲み薬は、大人でも慎重さが必要ですが、50年以上前からある、安全な使い方がわかっている薬です。ステロイドによって症状が改善すれば、減らしていくのが一般的です。「だんだん強くしていく」のとはむしろ逆です。
「脱ステ」だけでなく「脱保湿」を試みる人もいます。「保湿剤をやめることで、自ら保湿する力を育てる」という考えがありますが、これも誤り。
保湿剤に肌の保湿力を妨げるような機能はありませんし、保湿剤を塗るとむしろ角質層の水分量は増えます。乾燥した皮膚を放置しておくと、角質層の水分はさらに逃げて、乾燥が進んでしまうのです。
しかも、年齢の小さい子ではバリア機能の低下から、肌に異物が接触して、アレルゲンとなる食物が入って食物アレルギーになるリスクが高まります。
保湿剤には大きなメリットがあるのです。
使用するのに注意が必要な薬は、たとえば鼻水の分泌を少なくする目的で処方される抗ヒスタミン薬です。
けいれんの閾値を下げるので、熱性けいれんの経験がある子には注意が必要です。熱性けいれんは8%くらいの子に起こることがあるのです。開発時期が古い第一世代抗ヒスタミン薬は、影響が大きいと言われています。
他にも、大人には一般的な抗菌薬や解熱鎮痛薬、鎮咳薬でも、子どもにはデメリットが大きいものがあります。
お子さんが小さい場合は特に、小児科か他の科でも子どもの診療に慣れている医師を受診することをお勧めします。
薬にはメリットもデメリットもあるというお話をしましたが、ほとんどの医師は、「薬を飲まなくても治るなら、その方が良い」と思っています。
最近では広く知られている通り、風邪に根本的な治療法はなく、対症療法しかありません。
痰を切りやすくして咳を軽くしたり、喉の炎症を抑えたりする薬で症状を和らげますが、早く受診して早く飲めば早く治るというわけではないのです。
インフルエンザや水ぼうそうのような、抗ウイルス薬のある感染症は別です。ウイルスの増殖を抑える薬は、日数が経ってから始めても効果はありません。
インフルエンザや水ぼうそうを疑ったら、早くに受診しましょう。
私も実際に、保護者から「薬が必要ないならいりません」と言われることがありますし、それでいいと考えています。
医師に希望を伝えることは、少しも失礼ではありません。もし「なるべく使いたくない」という要望があれば、ぜひ医師に伝えてください。

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。
著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数
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