子育ての「引き出し」は余裕があってこそ
今、ぼくは保育士になって16年目なんですが、保育士として働いている人や子育てしている保護者には、保育や子育てを楽しんでいる人もいれば、そうでない人もいます。
「どんな違いがあるんだろう?」と長い間考えてきました。そこで、気づいたのが、「引き出しの多さ」だったんですね。
子どもが「ヤダヤダ!」となったとき、対処法の引き出しがひとつしかなければ、それがうまくいかないと、「もうダメだ…」となってしまうけど、引き出しがいくつもあれば、「じゃあアレをやってみよう」「次はコレをやってみよう」と考えられますよね。
では、引き出しはどうやったら増やせるのでしょう?
引き出しを増やすには、「余裕」が大切なんです。
たとえば、冷凍食品やウーバーイーツなどを利用したりして、家事の手間を抜いて、物理的にやることをなくしていってください。ぜひパートナーと「これ、やめたいんだけど」と相談してみてくださいね。
それが、心の余裕につながるんだと思います。
「この人に動いてもらうには?」大人も子どももひとりの人間
「保育で一番大切にしていることは?」とよく尋ねられます。
難しい質問だと思っていたんですが、最近は「目の前の子どもをひとりの独立した存在として見ること」と答えるようにしています。
たとえば、目の前の大人に何かをしてもらおうと思ったら、まずは「今、この人はお手伝いできる状況かな?」とその人をよく観察するじゃないですか。
そして、できそうだと思ったら、「ちょっとすみませんが、○○してもらえませんか?」と声をかけますよね。
子どもの場合はどうでしょう?
遊んでいるのに突然、「はい、じゃあおかたづけ!はい、もうやるよ!はい、もう3回目だからね!もう怒るよ、じゃあこのおもちゃ捨てちゃうからね!」
……同じ態度を大人に取ったとしたら、だいぶ失礼な話じゃないですか?
相手が大人であれ子どもであれ、ひとりの人間とのコミュニケーションだと思えば、「この人がどうやったらスムーズに動いてくれるか」と考えられるんじゃないでしょうか。
そうすれば、子どもがおかたづけがしたくなる方法は、ネットやテレビや本などで紹介されているように、「早く誰がしまえるか競争」や「赤いものを集めよう」とゲームにしてみるなど、いろんな方法がありますから。ぜひ試してみてくださいね。
1段目のグラスを飛ばしていませんか
「シャンパンタワーの法則」って知っていますか?シャンパンタワーは、上から注がれたシャンパンで1段目のグラスがいっぱいになると、2段目に流れ、さらに3段目と流れていきますね。
ここで、注がれるのは、シャンパンではなく、「幸せのボトル」と考えてください。
1段目のグラスは「自分」、2段目・3段目は「子ども」や「家族」です。
皆さんはやさしいので、1段目に1滴も注がずに、ついつい2段目に注ぎがちなんです。たとえば、「仕事を辞める」とか。最初はいいんです、「子どものため」「パートナーのため」とがんばれます。
でも、いつか気づくんです。「あれ?私全然幸せじゃないかも」と。
そうすると、心が折れてしまいます。自分の幸せを大切にしないで、しんどくなってしまうのではなく、子どもを思うくらい自分のことを大切にしてください。
1段目のグラスに「幸せのボトル」を注いで、自分が満たされれば、自然と2段目・3段目にも幸せが流れていきます。
「良い子育て」には、余裕が欠かせないのです。
今回お話を伺ったのは…
てぃ先生
現役の保育士でありながら、SNSの総フォロワー数が200万人を超えるインフルエンサーとして活躍。NHK Eテレ「ハロー!ちびっこモンスター」にレギュラー出演するなど、テレビをはじめとする数多くのメディアにも出演。著書は累計70万部以上。全国での講演活動は年間50本以上で、他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。