ほめて育てるとはどういうこと?【汐見先生のうまれて、よかった】

2026年3月11日

【2026年3-4月号掲載】

「ねぇ、ほめてくれないの?」ときく子

よく、子どもはほめて育てよ、ということが言われます。『ほめて育てる』という類いのタイトルをつけた育児書も何冊か出されています。叱って育てるよりもほめて育てた方がよく育つということですね。

確かにそうだと思うのですが、しかし、あらためて考えたとき、ほめるとはどういうことを実際に指しているのでしょうか?

「がんばったね」「いいものつくったね」「素敵だよ」「かわいいお子さんですね」等々のほめ言葉をおりにふれ子どもに発することでしょうか。

もしほめるということをほめ言葉をたくさん伝えることだとすると、それがうれしいと感じる子どもの中には、ほめてもらうために行動するということが増えてこないでしょうか?「ねぇ、ほめてくれないの?」ときく子です。

ほめるとは「いいところ」を見つけて伝えること

その場合は、自分がしたいからする、それが正しいと思うからする、ということではなくて、親等からのポジティブな評価をもらうこと、つまり他者からの期待が行動の規準になってしまいます。こういう子は、長じると、自分には自分といえる部分がない、と感じるようになりがちです。
これが自分だ、という自己認識は、自分のしたいことをやり続ける中で、自分の心の深い願望を知り、それを介して自分という人間を知っていくからです。

私は、ほめることは大事だが、だれにも通じる「お利口さん」「がんばったね」「かわいい子ね」等の決まり文句を伝えるのではなく、その子自身も気がついてないようなその子らしさを見つけ、それをその子の利点として伝えることだと思っています。

「あの子はゆっくりタイプで時間がかかるけど、よく見たら何でもていねいにしないと気が済まないからなのね」と別の角度からその子を見て、それがあなたのいいところ、と伝えることです。
昨日あんなに叱ったのに、今日はケロッとしている、という子は儲けものです。それだけ逆境に強くたくましい子だからです。

お話を伺ったのは…

汐見 稔幸さん
汐見 稔幸さん

一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事。
東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育士養成協議会会長・日本保育学会理事(前会長)。 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。初代イクメン。父親の育児参加を呼びかけた「父子手帳」の著者。ユーモラスでわかりやすい語り口の講演は定評があり、保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長や持続可能性をキーワードとする保育者のための学びの場『ぐうたら村』の村長でもある。NHK E-テレ『すくすく子育て』などメディアへの出演も多数。

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