【2025年5-6月号掲載】
子どもの個性の芽を見つけるには
子どもの個性の芽を見つけるのはどうしたらできるでしょうか?
一つは、小さい頃から、この子は学者タイプね、この子は商売人タイプね、この子は芸術家タイプね、のように大まかにタイプ分けしてしまうことです。
もらったお小遣いをしっかりと貯めていくらになったと言っている子は商売人タイプですし、いつも理屈で親に対抗したがる子は学者タイプ、面白い発想をするな、という子は芸人タイプ、あるいは芸術家、起業家タイプ、等のようにです。
もう一つは、子どもの弱点に目を向けるのではなく、それを反対から見て、その弱点がその子の長所かもしれない、という風に見ることです。
たとえば何をするにも時間がかかって、要領が悪い、親から見たら将来心配、というような子の場合。折り紙を教えているのに、何回も折り直して折り紙がくしゃくしゃになってしまう、時間がかかるだけでうまく折れない、というような子がいたとします。そういう子をどう見るか?
なぜ時間がかかるか、よく見てみると、その子はきっちり重ならないと次に進もうとしないタイプだということがわかります。でも不器用だからきっちり重ねられない。で、何回も折り直す。時間がかかる。
そういう子に出会ったら、しめた!と思うのです。この年で、こんなにきっちりとしないと気が済まない子って、珍しい。今は不器用だから時間がかかるけど、このまま大きくなると、どんな仕事でもきっちりしないと気が済まないタイプになるのではないか。つまり職人タイプの仕事をする人になるのではないか、と考えるのです。
すると、あなたは職人タイプね、将来楽しみ!となります。かんしゃく持ちの子は、将来世の不正義に一番憤るタイプになる、きっと政治家に向いているのではないか。逆に自分からやり出さないで、じっとまず観察している子ども。この子は観察上手で、将来カウンセラーにでもなるのではないか、と思うわけです。
子どもは大人が善く見ると、その通りの善い人間になるのです。善く見ると善く育つ、です。
お話を伺ったのは…
汐見 稔幸さん
一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事。
東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育士養成協議会会長・日本保育学会理事(前会長)。 専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。初代イクメン。父親の育児参加を呼びかけた「父子手帳」の著者。ユーモラスでわかりやすい語り口の講演は定評があり、保育者による本音の交流雑誌『エデュカーレ』編集長や持続可能性をキーワードとする保育者のための学びの場『ぐうたら村』の村長でもある。NHK E-テレ『すくすく子育て』などメディアへの出演も多数。