“怒り”は誰もが感じる自然な感情【子どもと向き合う/戸田 久実さん】

2022年5月9日

【2017年6月号掲載】

ママはつい、子どもに怒り過ぎて 「また怒っちゃった」「あんな怒り方しなければよかったな」 と落ちこんでしまいますよね。

怒りを上手にコントロールするにはどうすればいいのでしょうか?

日本アンガーマネジメント協会理事の 戸田久実さんにお話をうかがいました。

もくじ

1.アンガーマネジメントとは何でしょうか?
2.どうすれば、怒りの感情と上手につきあえるでしょうか?
3.ママたちにエールをお願いします
4.教えてくれたのは

アンガーマネジメントとは何でしょうか?


1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手につきあうための心理トレーニングです。

「怒らないようにしよう」「怒りを我慢しよう」ではなく、怒りで後悔しないことを目指しています。ママが怒りを上手に扱えるようになると、気持ちが楽になるし、子どもやパートナーの反応も変化していきますよ。

どうすれば、怒りの感情と上手につきあえるでしょうか?


怒りとはどういうものなのかを、まずは理解しましょう。それだけでも、怒りへの対処がしやすくなります。

怒りは、うれしい、悲しいなど他の感情と同じで、誰もが感じる自然な感情の一つ。怒りは、自分の「こうあるべき」が思い通りにならなかった時に生まれます。家族など身近な間柄であっても「べき」はそれぞれ違うので、ズレが生じるのは当たり前なのですが、ママはわが子に対し「ママの思う通りにして当たり前」と期待もあり、期待が裏切られると強い怒りを感じてしまいます。

怒るのは決して悪いことではないので、怒ってもいいんですよ。大切なのは、自分の気持ちと向きあうこと、怒りにまかせて行動しないことです。それにはまず、怒りの原因となる自分の「べき」を把握しましょう。

怒りを感じても「〇〇すべき、が守られなくてイラッとしているんだな」と冷静に受けとめられるし、「こうしてほしい」と伝えやすくなります。伝える時は、子どもに伝わる言葉を選びましょう。「もー!」など意味のない言葉ではなく「遊び終わったら、おもちゃはその場で片付けてね。片付けないと、なくしちゃうから」と、何をどうしてほしいかを明確に、具体的に伝えるのです。

また、気分によって「怒る・怒らない」が変わると子どもは混乱し、人の顔色ばかりをうかがうようになります。何を守らなかったら怒るのか、基準を明確にしましょう。怒りにのまれそうになった時には、数を逆算して数える「カウントバック」や、その場をいったん離れて気持ちをリセットさせる「タイムアウト」など、怒りから意識をそらせる方法があります。

ママが怒りを上手に扱えると、子どもも「こんな風に伝えればいいんだな」と自分の気持ちを上手に表現できるようになります。できることから少しずつ、取り組んでみてくださいね。

ママたちにエールをお願いします


日々、たくさんのママから相談を受ける中で思うのは、みなさん、良いママになろうと一生懸命だなということ。

ママが怒るのは、母親としての責任感もあるんですよね。がんばりすぎず、親子でハッピーに過ごせたら、それでOK。

良いママにならなくても、幸せなママになってもらえたらなと思います。

教えてくれたのは

戸田 久実

戸田 久実(とだ くみ)さん 

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。大学卒業後、民間企業にて営業、社長秘書として勤務。現在は研修講師として民間企業、官公庁において、新入社員から管理職までを対象に「アンガーマネジメント」「クレーム対応」「プレゼンテーション」「女性リーダー育成」などの研修や講演を行う。


いつも怒っている人も
うまく怒れない人も
図解アンガーマネジメント
戸田久実


著:戸田久実
監修:安藤俊介
発行:かんき出版


誰でも無理なくアンガーマネジメントに取り組むために解説した本。ひと目でポイントがわかるように図やイラストでわかりやすくまとめられているので、本を読むのが苦手な人も、時間がない人にもおすすめ!

このページをシェアする

週間人気記事ランキング

もっと見る