0歳児で保育園に入園します【コドモカルテ/小児科専門医 森戸やすみさん】

2021年4月9日

【2021年3-4月号掲載】

子どもの病気やケガは、いつも突然やってきます。
それは、子どもは大人のミニチュアではないから。
子どもの体や病気を知って、安心して子育てを楽しもう。


「こんな時どうする?」
小児科医が教える病気のケア

0歳児で保育園に入園します

「3歳までは母親が育てないといけない」?


2018年に某国会議員が「0~3歳児の赤ちゃんに『パパとママ、どっちが好きか』と聞けば、どう考えたって『ママがいい』に決まっている」と発言して物議をかもしました。

この発言は、“3歳児神話”に基づいたものでしょう。
3歳児神話とは「3歳までは常に家で母親の手で育てないと、その後の成長に悪い影響がある」という考えで、イギリスの精神医学者であるジョン・ボウルビィ氏による1951年の報告が基になっています。

しかし、3歳児神話はすでに国内外で否定されています。

もともとボウルビィ氏が言いたかったのは「幼少時に信頼できる大人との愛着関係を築くことが大事」ということ。信頼できる大人は母親ではなくても、父親でも祖父母でも保育園の先生でもいいのです。
日本では『厚生白書(平成10年版)』で、3歳児神話は「少なくとも合理的な根拠は認められない」として否定されています。

もしも周囲に「こんなに小さい子どもを預けるなんて」と眉をひそめたり、「愛情不足」と非難したりする人がいても、気にしないようにしましょう。

 

入園後は母乳でもミルクでもどちらでも大丈夫


それでも、多くの人は初めて子どもを預ける前は心配になります。
そこで、保育園入園前に備えておけることについてお伝えします。


まず、授乳について。

母乳育児をしている場合、赤ちゃんが母乳を欲しがっていて、お母さんも続けたいと思っているなら、無理にやめる必要はありません。搾乳した母乳を与えることができない保育園でも、日中はミルクにして、朝出かける前と帰宅後の夜間、休日は母乳にすれば、母乳育児を続けることができます。

一方、入園を機に卒乳する場合は、事前に夜間や日中などの一定期間は授乳をやめたり、1日の回数を少しずつ減らしたりすることで、徐々に母乳の割合を減らしていきます。ミルク(粉ミルクや液体ミルク)に変えるのは決して悪いことではありません。これまでがんばって授乳してきた自分をねぎらいましょう。


また、入園すると、最初はいろいろな病気をもらってきます。
かかりやすい病気は、なんといっても風邪。不安になると思いますが、どうか気にしすぎないでください。

入園して体調を崩すと、予防接種もスケジュール通りにいかなくなるので、受けられるものは入園前に済ませておきましょう。
0歳のうちに「BCG」「B型肝炎ワクチン」「ヒブワクチン」「肺炎球菌ワクチン」「四種混合ワクチン」「ロタウイルスワクチン」を接種し始め、1歳になったら「MRワクチン」「水ぼうそうワクチン」「おたふく風邪ワクチン」を必ず受けましょう。

3歳から接種のお知らせが来る「日本脳炎ワクチン」も6カ月から接種可能です。
よくわからない場合は、小児科医に相談してみてください。

私が娘の入園前に不安に思っていたことはすべて杞憂に終わりました。
娘は保育園にすぐに慣れ、家庭ではできない遊びや行事をたくさん楽しみました。

心配なことがあったらひとりで抱え込まず、保育園や幼稚園に相談しましょう。

教えてくれたのは…

森戸 やすみ さん 


小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は東京都内で開業準備中。
著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。

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