学んで実践!子どもの事故の応急処置と事故防止

2023年10月23日

子どもの突然の事故…。ママやパパはパニックになることが少なくありません。

子どもの救急搬送で上位を占める事故は、転ぶ、落ちる、ぶつかる、物がつまる、やけどなど。消費者庁統計データ(人口動態特別集計結果)によると、歩き始めた1~2歳が最も搬送が多いという結果があります。

焦らず落ち着いて救急車が到着するまでの応急処置と家庭での事故を未然に防ぐ方法を紹介します。

もくじ

  1. パニックにならず、落ち着いて行動を
  2. 救急車が到着するまでの応急処置
  3. おうちで起こりやすい事故と防止法
  4. 救急車を呼ぶか迷ったらまず相談
  5. お話を伺ったのは

パニックにならず、落ち着いて行動を

救命の可能性と時間経過

お子さんが意識喪失やぐったりしていたら、すぐ119番へ連絡して救急車を要請してください。

頭や首にケガをしていたら、室内など安全な場所であれば動かさず安静に。通報では、事故の発生時の様子やケガの状況、アレルギーや持病についても質問しますので落ち着いて対応してください。

搬送時には、保険証、乳児医療証、母子手帳が必要です。

救急車が到着するまでの応急処置

消防署へ通報すると応急処置の方法を口頭指導してもらえます。スピーカーフォンにすれば安心して応急処置ができます。
応急処置は、救急車が到着するか、意識が戻るか、異物が除去できるまで続けます。

▶︎意識がなく呼吸していない
心肺蘇生法

乳児の場合(1歳未満)


心肺蘇生法
「大丈夫?」と呼びかけながら、足裏を叩いて反応を確認する。胸やお腹を見て10秒ほど呼吸の確認をする。反応がなければ119番へ通報。

心肺蘇生法
心肺蘇生を開始する。
  • 乳頭を結んだ線より少し下に指2本をおき、 胸の厚さ1/3の深さまで30回圧迫する。
  • 1分間に100〜120回のテンポで圧迫する。

心肺蘇生法
気道を確保し、人工呼吸を2回行う。
  • あごを少し持ち上げ、口を大きく開ける。
  • 口と鼻の両方を覆って息を吹き入れる。※胸が上がるぐらいを目安にする。
  • 1回の吹込みに1秒かけて2回連続する。

30回圧迫、2回人工呼吸を続ける。

幼児の場合(1歳以上小学生未満)

心肺蘇生法
「大丈夫?」と呼びかけながら、肩を叩いて反応を確認する。胸やお腹を見て10秒ほど呼吸の確認をする。反応がなければ119番へ通報。

心肺蘇生法
心肺蘇生を開始する。
  • 胸の真ん中に片手または両手の付け根を あて、胸の厚さ1/3の深さまで30回圧迫する。
  • 1分間に100〜120回のテンポで圧迫する。

心肺蘇生法
気道を確保し、人工呼吸を2回行う。
  • あご先を持ち上げる。
  • 鼻をつまみ、口から吹き入れる。※胸が上がるぐらいを目安にする。
  • 1回の吹込みに1秒かけて2回連続する。

30回圧迫、2回人工呼吸を続ける。

▶︎誤飲してしまったら
気道内異物除去

背部叩打法(乳児)

顔色が悪かったり、呼吸ができていなかったりする場合は119番通報をして、異物除去を始める。


気道内異物除去
乳児を腕の上で頭部が低くなるようにうつぶせに抱き、背中を5回ほど手の付け根で叩く。除去できなければしばらく続ける。

気道内異物除去
意識がなくなったり、異物が除去できなかったりする場合心肺蘇生法(胸部圧迫30回、人工呼吸2回)を開始する。


腹部突き上げ法(幼児)

「のどが詰まったの?」と声をかけ反応をみる

  • 意識や呼吸があれば咳をさせる。
  • 意識はあるが顔色が悪かったり、呼吸ができていなかったりする場合は、119番通報をして、異物除去を始める。


気道内異物除去
幼児の後ろからへその上部にこぶしを置き、内側上方へ素早く5回ほど圧迫する。除去できなければしばらく続ける。

気道内異物除去
意識がなくなったり、異物が除去できなかったりする場合心肺蘇生法(胸部圧迫30回、人工呼吸2回)を開始する。
※人工呼吸のため気道を確保した時に異物を発見することがあるので、その場合は素早く取り除く。

救急車を呼ぶ前に異物が除去されても、腹部突き上げ法を行ったことで内臓を痛めているケースがあるので病院を受診してください。

おうちで起こりやすい事故と防止法

保護者が目を離さないことと室内環境を整えることで、事故は未然に防げます。

 
リビング
  • フローリングですべって後頭部を強く打つ
    ➡室内は裸足で過ごすように習慣化する。
  • テーブルの角で顔や頭を打つ
    ➡角にはクッションテープなどのカバーを取り付ける。
  • ブラインドのヒモで窒息
    ➡ヒモを手が届かないところにまとめる、購入時にヒモがないものを選ぶ。
  • 小さいおもちゃやお菓子などを耳や鼻に入れて取れなくなる
    ➡幼児の近くに小さい物を置かない、出したままにしない。
ダイニングキッチン
  • 炊飯器、電気ケトルに触ってヤケド
    ➡キッチンに入らないようにベビーゲートをする。
  • テーブルクロスをひっぱり、コーヒーやみそ汁をかぶる
    ➡子どもが幼い間はテーブルクロスを敷かない。
  • 包丁やキッチンバサミでケガ
    ➡刃物を使用したらすぐに収納場所に片付ける。収納場所の扉や引き出しにはチャイルドロックを。
寝室
  • うつぶせ寝、柔らかい寝具に埋もれ窒息
    ➡1歳まではあおむけ寝で、敷布団は固めの物を選ぶ。
  • 大人用ベッドから転落したり、柵の隙間に頭が挟まったりする
    ➡ベビーベッドで寝かせる。
階段・窓・ベランダ
  • 階段からの転落
    ➡歩き始めた子どもは段差を上りたがる習性があるので
  • 窓やベランダからの転落
    ➡窓の近くにソファーなど踏み台になるものを置かない。ベランダを遊び場所にしない。椅子や植木鉢用のラックなど踏み台になるものを置かない。
お風呂
  • 入浴時や浴槽への転落で溺れる
    ➡大人が洗髪するときは子どもを浴槽から出す。入浴後は浴槽の水を抜くか、外カギを付ける。ベビーゲートを設置する。

救急車を呼ぶか迷ったらまず相談

かりつけの小児科医かお近くの消防署でも相談を受け付けます。 姫路市HP救急受信ガイドから症状を選んで自己診断も可能です。

子ども医療電話相談事業  
#8000(休日・夜間のみ) 
 
姫路市救急医療電話相談(小児科) 
079-292-4874 (ふくつう しんぱいなし) 
 
全国版救急受信アプリ「Q助」 
→消防庁のWEBページへ移動する

お話を伺ったのは

習田さん
姫路市消防局救急課
習田 良輔さん
2009年に姫路市消防局に拝命され、姫路市防災センターでの勤務は4年前からです。2年前から救急隊員への点滴や気道確保の指導を担当しています。お子さんの急な事故で救急車の要請をする場合は、慌てずに落ち着いてケガの状態を教えてください。
 
姫路市防災センター 姫路市防災センター
姫路市防災センター
姫路市防災センターでは、消防本部機能、消防指令センター、本部直轄隊(高度救助隊、水難救助隊、救急隊)を有し市民の皆様の安心安全を守っています。また、防災プラザを開設しており、身の回りの防災について、分かりやすく学べる施設となっています。
 
読者モデル
読者モデル
華子ママ
丈(じょう)くん3歳
元(げん)くん・2歳

子どもたちは救急車や消防車が大好きです。長男が階段から落ちたことがあるので、今日はしっかり応急処置を学びたいです!

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